星と蛍の物語

 この物語は宗像の地に生きた、武丸の正助さんの「心」をモチーフにしたオリジナル創作物語です。
 
 病気のお父さんの看病をしながら働く少年。
いつも元気にふるまっていますが、あまりのつらさにくじけそうになってしまいます。

 そんなある夜、少しでも少年の役にたとうと村の人々が集まってきました。
そして少年がふっと足元を見ると、蛍が少年を見上げていました。
蛍は少年に恩返しがしたいといいます・・・。
まぼろしの大楠「宇宙の樹」や蛍の恩返しとは・・・?
少年と蛍、そして人々のやさしさが織りなすファンタジーです。

 前半では、天の川とともに夏の星座をご紹介します。

あらすじ

正直で親孝行者と知られ、人前ではいつも元 気な少年ですが、実はここのところ、悪くなる一方のお父さんの病状にほとほと困り、疲れきっていました。

少年の心の中を、暗く冷たいものが流れます。

少年の声を聞きつけ、いつも少年に手伝いをしてもらっている人々が、一人、また一人と集まって来ました。みんな、何もしてあげられなくても、少年のことをとても気にかけていたのです。
しかし、人の命ばかりは、どうにもできません。

人々はお父さんのために大島へ行って、天の川の清水や牽牛神社・ 織姫神社にお参りすることを思いつき、港を出発しました。

山田の蛍が少年の足下にやってきて、恩返しがしたいといいます。

蛍「この地のどこかに、天まで伸びる『宇宙の樹』というクスの巨木があって、その木の枝で笛を作り、奏でると、たった一度だけ、世にも不思議な奇跡が起きるといわれているんです」

少年と蛍は「物知りかのこゆり」に宇宙の樹について聞きにいくことにしました。

凛としたとても綺麗なかのこゆり・・・。
ただし、「喋らなければ」

蛍「相手をしてもらうには、ある質問をしなければなりません。
  さあ、お気持ちの整理はよろしいですか? 
  では、いきます。カノコユリ、カノコユリ、この世で一番美しい花は、
  何の花?」

かのこゆりからヒントを聞き出した少年と蛍は宇宙の樹に向かいました。
天に届く巨大な宇宙の樹。
しかし、どれだけ昇っても幹が続くばかりで、枝は一向に見 えてきません。
・・・やがて、蛍が一匹一匹と、力尽きて落ち始めました。

なんとか枝を取り、お父さんのところに向かう少年と蛍。

お父さんの前で笛を奏でるのだが・・・。

大島にお願いにいった村の人々が遭難し、危険な状態。

でも奇跡は一度しか起こせません。

そのとき、少年のとった行動は・・・・。

制作

制作:田島秀樹事務所(有), NPO法人エム・ワイ・ピー